ATPを正常に働かせる【マグネシウム】
マグネシウム(Mg)は細胞内で働くほとんどの酵素の活性に関与しているミネラルです。体重60kgの人の場合、カルシウムは骨の主成分でもあるので約840gありますが、マグネシウムは約16gしかありません。酵素反応などに必要なカルシウムは足りないとホルモンの作用によって骨から取り出せますが、マグネシウムはその働きが弱いので不足しやすいミネラルです。
厚生労働省が定めているカルシウムの一日の所要量は600mgから700mg。マグネシウムとカルシウムの摂取比率は1:2が理想と言われていますから、一日の所要量は300mg以上となります。
食材中のマグネシウムは調理の過程で失われやすく、ゆでると20%から30%も煮汁に流れ出します。体が正しく機能するために、日々不足にならないよう摂取量を満たす必要があるのです。
ミネラルは細胞膜にあるポンプによって細胞内に取り込まれたり、細胞外へ汲み出されることで、細胞内外のミネラルバランスが保たれることによって生命が維持されています。このポンプを動かしているのがATP(アデノシン三リン酸)アーゼという酵素です。例えば図のようにCaを運ぶATP(アデノシン三リン酸)アーゼ(緑のスコップ)はマグネシウムATPがないと働くことができません。マグネシウムは私たちが生きるために重要な役割を担う縁の下の力持ちと言えるのです。